癌治療
癌治療:インディバ温熱療法
インディバ温熱療法

温熱療法が癌に有効である事は皆さんも良くご存じと思います。温熱には、温度にもよりますが色々な効果があると言われていますが、通常は、ストレスの防御、免疫増強(抗がん効果)、疾病の予防や治療、鎮痛効果に古来使われてきました。

当院でも、この温熱療法は大きく3つの面から導入しています。

1) 免疫活性効果

2) 鎮痛効果

3) 美容効果

では、最初に温熱効果について簡単に解説します。温熱には、加温する程度によりA)高加温(42度以上)効果と、B)マイルド加温(39度程度)効果の2つがあります。

A) A) 高加温効果とは、高加温(42度以上)の癌への直接壊死を期待した効果を言います。42度から始まるタンパク凝固の結果ですが、正常組織は毛細血管も拡張し、増えた血流が熱を除去するため、局所は高温にならないと言われています。一方、癌組織の血管は未熟なため、高温になっても拡張できず、熱がこもり凝固壊死が始まると言われています。(私自身も、癌治療の経過中に感染症を合併し、発生した高熱後に腫瘍が急速に縮小した事例を複数経験しています)全身の高加温療法もありますが、かなりの危険性も伴い、現在深部加温が効果的に出来るようになり全身療法は少なくなりつつあります。
B)

マイルド加温(39度程度)効果とは、HSP(Heat Shock Protein 熱ショックタンパク質)を増加させる効果と言えます。HSPとは、細胞内において、タンパク質の修復、形成、輸送、分解など管理するタンパクで、分子量によりHSP100,90,70,60,47,40,27など沢山ある中、 分子量70,000のHSP70が最も効果が高いとされます。また、HSPは、熱のない平常時にもシャペロン(フランスの若い貴婦人を介添えする年配の貴婦人の事)として、タンパク質の運搬、形成に介添えを行います。よって、マイルド加温の結果、増加したHSP70は、ⅰ)免疫力強化ⅱ)癌細胞の抗原性顕在化ⅲ)高濃度VC療法の増強効果ⅳ)放射線感受性増強効果ⅴ)化学療法増強効果があるとされます(赤坂アンチエイジングクリニック 森医師)。 HSPの研究をされる、元愛知医大の伊藤要子先生によれば、このマイルド加温療法は、プリオン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、白内障、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、 各種神経変性疾患の所謂フォールディング病(神経難病:構造異常を起こした異常タンパク質が凝集し壊死する病気群)にも有効であるといいます。また、伊藤先生は「非常にストレスの多い現代、HSPを十分準備して、大きなストレスに備える」事の重要性も説かれています。(国際統合医学会誌 Vol.3 P92~P99より)


当院では、この温熱療法を実施する為に1~3の療法を取り入れています。

1. インディバCRet(以下、インディバ、図1)による深部加温療法

2. 琵琶の葉温熱療法(ユーフォリア方法とモグサによる古典的方法)

3. 薬草蒸し(韓国式)

本稿では、1について述べます。

インディバCRet(以下、インディバ、図1)による深部加温療法


(図1 インディバHP)

電気メスの開発者であるスペインのホセ・カルベット氏により開発されました高周波温熱機器です。出力やエレクトロードの違いより医療用とエステ用(当院では、テラピストが、美顔、痩身、セルライト除去などを実施中)があり、医療用では主に癌治療の補助治療(当院では、癌の補完代替療法として、高濃度VC点滴+インディバを導入)として行われています。


インディバによる治療法の特徴は、通常の温熱療法と違って効率的に深部加温が出来る事にあります。通常、内臓癌や転移巣は体深部にあり、体表からの加温では血流により熱が運び去られるため、十分な深部加温が困難でした。しかし、インディバは加温したい部分(癌周辺)をエレクトロード(操作電極)と反対側に戻し電極板をおき、容量電位法と抵抗性電位法の特許技術により従来困難であったジュール熱を深部に発生させる事が出来るようになりました(図2)。この方法により、高加温療法も可能ですが、当院では、高濃度VCと併用する事により、抗がん効果を期待しています。


(図2 インディバHPより)


(図3 「統合医療で癌に克つ」Vol.8より)

先の森先生は、ヒト結腸癌患者の細胞死滅率を高濃度VC単独より、マイルド加温を加えた方が高かったと報告しています(図3)。

以上より、当院では癌治療の為の高濃度VC点滴療法には、インディバによるマイルド加温療法をセットしています。