コラム

フナクリでの癌治療

船戸 崇史

今回は、当院での癌治療の具体的な手順についてまとめてみました。当院での癌治療を図示すると以下の様になります。



さあ、ではこれからこれを少しづつ説明してゆきますね。




癌発生の仕組み

 癌細胞はもともと正常細胞です。正常細胞は、新陳代謝を繰り返し、早ければ数日ごと(小腸上皮など)、遅くても数ヶ月ごと(赤血球など)に新しい細胞に入れ替わります。そして1年後には全く新しい細胞集団へと入れ替わっています。設計図であるDNA(遺伝子)は同じなので同じカタチを再生するために新陳代謝は、はっきり目に見えないだけで、
細胞レベルではこの新旧交代はダイナミックに行われています。
しかし、この新しい細胞を再生(コピー)するための仕組みは実に絶妙、繊細で、あたかも奇跡の連続技の様です。30億対ある塩基配列(DNA=あなた自身の設計図)がことごとく正確に相手をコピーしてゆくのですが、問題は数です。30億個ものコピーを正確に行うことは困難で、いろいろな原因でコピーミスを起こします。目に見えないほどの極微の世界での出来事ですので、微量と思える程の要因で影響します。紫外線、添加物、電磁波、ウイルス、環境ホルモンなど(外因性)ストレスだけではなく、自分自身の正常ホルモンでさえ、分泌が増えれば正常細胞を破壊します。(精神的ストレスで増えた胃酸が、胃粘膜を破壊しついには潰瘍を形成します=内因性ストレス)
しかし生体は実に精妙な修復機構をもっています。その一つがHSP(Heat Shock Protein 熱ショック蛋白)です。この作用は、傷ついた遺伝子を修復し修復困難となると細胞自死(アポトーシス)に導く働きすらあります(シャペロン作用)。同時に癌抑制遺伝子も10数種類発見されており、有名なP53遺伝子は「最後の砦」とさえ言われています。
こうした、細胞修復機構により癌化が防止されますが、度重なるストレスによりとうとう正常細胞は癌化します。
癌細胞中のHSPは高濃度で、当初癌細胞も正常細胞に戻ったりすると考えられています。しかし、P53遺伝子やSMAD4,PTEN遺伝子破壊により修復困難な癌細胞が誕生、増殖します。40歳を超えると早い人(睡眠不足、喫煙者など)で3秒に一個。遅い人(食事、運動励行者)でも30秒に一個の割合で癌細胞が発生しているのです。



癌抑制の仕組み1・リンパ球編

  一度発生してしまった癌細胞はどのように排除されるのでしょうか?癌細胞は、正常細胞とは違った性分が根についた細胞です。こうした変質した細胞を排除する細胞があります。それをリンパ球といいます。リンパ球は白血球の一つで主に癌細胞やウイルスを色々な方法で撃退します。癌細胞は、おもにキラーT細胞(CTL:Cytotoxic T Lymphocyte)や,ナチュラルキラー(NK: Natural Killer)と言われるリンパ球が撃退します。(癌抑制の仕組み2・自律神経系編の図)


 また、白血球には大きく分けて、顆粒球という分画もあります。主に細菌を貪食します。この細菌は体の細胞より更に小さな生命体ですが、完全に異物であり、白血球などはそれを認識して排除します。このように、異物(細菌、ウイルス、癌細胞)を排除する仕組みを免疫といい、その働きを免疫能、働きの強さを免疫力といいます。 ここで問題なことがあります。それは、顆粒球も白血球ならリンパ球同様、癌細胞を退治していくれるのか?というと、実は退治してくれません。それどころか、正常細胞の癌化を助長すると言われています。これは由々しき事です。










癌抑制の仕組み2・自律神経系編



 しかし、人間の身体は実に精妙で、この白血球のうち癌細胞を撃退するリンパ球と細菌を撃退する顆粒球とは働く時間帯が違うことが分かっています。
リンパ球は主に夜間帯、副交感神経の支配下に活動がコントロールされています。一方顆粒球が働くのはお昼の時間帯、交感神経の支配下です。つまり、昼は食事も食べ、活動しますから外傷の危険もあり、常時顆粒球が外敵(細菌)から身を守るために巡回する必要があるのです。私も驚きましたが、通常の食事後に採血して顕鏡すると、無数の細菌が赤血球の間を所狭しと動き回っています。寿司、生食のあとは特に凄い数です。これが短時間で顆粒球により撃退。そうでなくては、人間は即、菌血症、肺炎などの感染症で死にます。(余談ですが、昨年、感染症は脳血管障害を抜いて日本人死因の第3位になりました)
 よって、癌やウイルスは夜間帯に副交感神経支配下で活性化するリンパ球により掃除され、細菌は昼間に交感神経支配下で活性化する顆粒球により掃除されると言えます。だから風邪や癌は夜間の良好な睡眠が最も大事になるのです。(一方、安眠を妨害すものが、痛みと不安です。癌が進行すると熟眠はできませんし、進行癌の70%は疼痛があると言います。進行癌を治すべく、免疫力を上げるには、適切な睡眠薬や鎮痛剤は最終的に癌治療の土台作りとして大変重要なのです)
 再確認になりますが、免疫は昼は昼、夜は夜の働きがあり、それは自律神経の働きによって支配を受けている。よって、昼は昼らしく夜は夜らしい、メリハリのある生活が重要だということです。特に癌について言えば、良好な睡眠が最も重要。良好な睡眠は昼間のピンピンした生活にこそある。昼ピンピンなら夜はコロッと眠られる。加えて安眠を妨害するもの(不安・痛み)を除くことも重要だということなんですね。



癌抑制の仕組み3、心編



 そしてこの自律神経をより高位でコントロースしているのが精神・心です。ただし、自律神経は文字通り、随意神経(意図的に指示できる神経)ではありません。勝手にコントロールしています。例えば、心臓、胃腸、発汗など自分で意図的にコントロールできません。(「心臓を止めますよ~」とか、「汗を出しますね」はできませんね)しかし、緊張したり、ドキッとすると、脈は促搏し血圧が上がり、呼吸も早く浅くなりますね。またお腹がすいてくると、グルグル鳴り始めますが、これは腸管運動が活発になってきた証拠です。どれも心と体が自律神経を介してつながっている現象(証拠)ですね。
 心の働きは色々あると思いますが、例えば心を「理性・知性・感情・想念・本能」で括ったとしましょう。私が思うに、最も自律神経と密着した心は「感情と本能」だと思います。「まず生きる」を司る心が「本能、感情」であり神経が「自律神経」だからです。つまり、食べない、寝ないは即「(個体の)死」に繋がり、生殖がないのは「(種の)絶滅」に繋がります。それから回避する本能が「恐怖」で、感情が怒り、怨み、妬み、不満です。
 いずれも、交感神経を興奮させ、逃避行動へと進めます(暴力も逃避行動の一つです)。一方、食欲、睡眠欲は性欲も含め副交感神経支配です。感情では「安楽」「ほっとする」「笑う」です。安心できる環境だからこそ生殖(子孫繁栄)も叶うのです。
 つまり、自律神経を高次でコントロールしているものは心であり、特に感情と本能の影響が強い。精神的に感情と本能のコントロールこそが適切な自律神経刺激となりメリハリある免疫活性が得られることになりますね。
  感情レベルなら、笑う(泣く)、ホット出来ることが副交感神経を刺激しますが、副交感神経も強すぎるとアレルギーを起こすなど、重要な事はなんでもバランスですね。
 よって、適切な(メリハリある)自律神経活性のために必要なことは、メリハリある感情とコントロールされた本能となります。コントロールする部分が理性であり知性です。それを遂行しようとする願い、エネルギーが想念です。

 以上から、癌細胞を抑えようとするなら、本来的に持っている人間の抑止力(癌抑制の仕組み)をより積極的に進めてあげれば良いわけです。つまり、癌細胞を抑制しようと思わずとも、リンパ球を活性化してあげれば良い。リンパ球を活性化せずとも、副交感神経を刺激してあげれば良い。副交感神経を刺激しようと思わずとも、バランスのとれた感情、コントロールされた本能(鍛錬された精神・心)は、延いては自律神経(副交感神経)を活性化し、リンパ球を活性化し癌を撲滅するか発生を予防することになるという訳です。
 最終的に確立された精神・心とは人間力であり、完成された人間力は所謂解脱、悟りの境地であり、きっとその境地は生きる死ぬを凌駕した境地なのでしょう。
 良寛のいう、「災難にあう時節には災難にあうがよく候。死ぬる時節には死ぬがよく候。これはこれ災難をのがるる妙法にて候」つまり「難を避ける唯一の方法は、難あれば難に遭うことだ」と申される境地(精神)こそが、最終的に神経を介し、リンパ球を介し、実は最も癌から遠い精神性であると言えるのではないでしょうか。
 深いですね。



西洋医学的癌治療



 まず、西洋医学的治療です。これは最も効果的にしかも確実に癌細胞を叩く治療法です。漢方初め、補完代替医療など多くの治療法がありますが、癌撲滅力では西洋医学に勝る治療法はありません。しかし、問題があります。それは、癌細胞を撲滅するだけなら良いのですが、少なからず正常細胞、つまりは免疫系も神経系もダメージを与えてしまうことです。それを副作用といいます。そしてこの副作用自体が、時には精神・心にまで影響し萎えさせてしまうことがある(多い)という事です。今も副作用のない抗癌剤を求めて研究開発が続けられていますが、なかなか登場しません。理由はそれ程、癌細胞だけを特化して分別できないことにあります。見方によっては、それくらい癌細胞と正常細胞とは似ているとも言えます。ひょっとすると、ここまで来たら、癌細胞を見分けて(差別化)殺すのではなく、諭して(同一化)戻す(正常細胞化)ほうが早い(近い)のかもしれませんね。是非そういう方向へ研究が進むと楽しいですね。
 癌は遺伝子異常です。将来の抗癌剤はきっと、癌化遺伝子を特定し、完全遺伝子修復薬ができること。名づけて、癌遺伝子還元薬(勝手な造語です)が開発されることを私は望んでいます。そのほうが、今は癌細胞と言えども、曾ては正常細胞として支えてくれた自分の細胞たちへの本当の思いやりのように思うのです。私はそれを夢の抗癌剤と呼びたいですね。 きっと、ヤクザな細胞でもシャバに戻ることは出来るはずですからね。





当院で行う統合医療

 西洋医学的治療はエビデンスに則った信頼できる医療であることは間違いありません。しかし、西洋医学発祥の地で、補完代替医療(CAM Complimentary Alternative Medicine)または、統合医療(IM Integrative Medicine)なる学問が登場ししかも拡大しています。(西洋医学以外の医学、医療を補完代替医療、西洋医学も総じて統合医療といいます)本当に西洋医学が完全ならば、CAMなどが登場するはずがありません。図らずもCAMの登場は西洋医学の不完全性を明らかにしました。しかしそれは、人間存在が、西洋医学を凌駕した存在であるとも言えるのではないでしょうか?
 その存在が、生来持っている癌抑制システムこそがきっと最も副作用なく強力な方法だと思えば、このシステムを刺激し活性化する方法こそが最も推奨されるべきではないかと私は思います。
そこで、当院ではこのスライドの①~⑨の療法(+緩和医療)を提案しております。
 以下にそれぞれに簡単に説明しましょう。

① 加温療法(インデイバによるハイパーサーミア)
 温熱療法の一つです。癌再発や転移している局所を高加温にする治療法です。
 腫瘍は42、5度以上で変性が始まると言われます。従来の体表からの温熱療法では体深部までは熱は浸透しませんでした。途中での血流により熱がフラッシュアウトされるからです。しかし、インディバは体に無害な電磁波により、体深部にジュール熱を直接発生させ、高加温を達成しました。治療時間は20分。

②マイルド加温(HSP入浴)
 同じ温熱療法でも①と違って、42度以下の温熱療法を言います。①は直接癌細胞の死滅を目的としますが、マイルド加温は本来もっている遺伝子修復タンパクであるHSP(Heat Shock Protein)を増やすことが目的です。HSPは運動などでも増えますが最も効率的に増加させる手段が熱刺激です。入浴なら42度10分、41度15分、40度20分を週2回程度熱刺激(入浴でOK.それをHSP入浴という)が妥当であると言われています。当院では、HSPの第一人者である、伊藤先生(現修文大学教授)の指導にて、ドーム型遠赤外線温熱器を使用して外来にて行っています。治療時間20分。

③還元電子治療
 堀口先生(坂出市堀口医院院長)が研究される細胞内診療では、常時酸化する細胞を掃除(還元)することが癌化予防に重要であると言われます。酸化予防には黄緑色野菜など食事が重要だが、理論的には細胞内へ電子(陰イオン)を注入する事で細胞の酸化を防止、修復を図ることが出来るという考えから還元電子治療器を開発されました。
 現在、傷ついた遺伝子の修復や、老化物質、疲労物質の除去が期待され、癌治療の一端を担ってくれる治療として注目されています。当医院では、一連の癌治療中に2回(1回20分)行います。これは、温熱やVCにより死滅した細胞により組織が酸性化しており、唯一酸性化を改善できる治療器として使用します。しかし、還元電子治療器単独で癌治療を行う場合は、一日数回~10回程度の治療(20~30分通電、30~40分休憩)が毎日必要であり、その場合は治療器を購入するか、レンタルが必要になります。

④高濃度VC点滴療法
 今、副作用のない抗癌剤として注目されています。全国的に普及しつつありますが、質の均展化、標準化のために点滴療法研究会が柳沢先生を会長に立ち上がっています。作用機序はVCが細胞内に取り込まれると必ず発生する活性酸素(フリーラジカル)を利用します。え?それが原因で遺伝子が傷つき癌が発生するのでは?と疑問を持たれると思いますが、その通りです。実は正常細胞は、発生する活性酸素を即座に分解(無毒化)するカタラーゼ及び、SOD(Superoxide dismutase)などを持っており、全く無害なのです。しかし、癌細胞はこうした酵素を持っていないか、持っていても少ないため、活性酸素を除去できません。つまり、自滅するしかないのです。そのためには、高濃度のVCを点滴しないと効果はありません(内服では不十分)。当院では、15g→25g→50gへと上げ(上限は100g)2~3時間かけて点滴します。週2回が原則ですが、効果(定期採血などで評価)により点滴量や回数を加減します。

⑤リンパ球点滴
 癌発生の仕組みでお分かり頂けましたとおり、癌予防の立役者の一つがリンパ球です。癌細胞が増えるなら、癌細胞を直接撲滅するのが抗癌剤でした。しかし、抗癌剤は正常細胞(リンパ球含め)も攻撃するため、諸刃の剣だとお話しました。増える癌細胞へのもう一つの対抗手段が担当細胞であるリンパ球を増やすという事ですね。リンパ球点滴には、樹状細胞、癌ワクチンなど種類がありますが、当院では東京クリニックの照沼先生と提携し、採血後東京のラボへ送り、主に癌細胞を直接抑制する細胞障害性リンパ球(γ、δ細胞)やNK(Natural Killer)を3週間培養(数十倍から数百倍に増やす)後に当院にて点滴を行うという方法です。これにより、増えたリンパ球が癌を抑えるという非常に生理的な方法です。①~④同様、副作用はありません。3週間ごと、採血培養6回を1クールとします。



<当院での実践例>



 あくまで2012,8現在です。(今後も進化あり)
 統合医療センター2Fにて、一日目のメニューが3~4時間かけて実施されます。同メニューを原則週2回行いますが、状態によっては、回数が増えたり減ることもあります。

 点滴療法が行われる日以外の日は、スライドの如きサプリメントを服用いただきます。また、この療法とは同時並行で、リンパ球の点滴療法(3週間ごと)漢方薬、テラピー、抗癌剤も実施できます。(当院では抗癌剤の点滴治療は行っていません)

⑥サプリメント
 これは沢山あります。アガリクスやプロポリス、キトサン、サメ軟骨、フコイダン、AHCC、イソフラボン、アラビノキシラン・・などなど現在日本では、最も多く使われる補完代替医療です。内服だけで完結できる手軽さもあるのでしょうが、様々な類似品や偽物もあり、玉石混合の世界です。
 最終的は自己責任で購入するしかありませんが、間違いなく有効な商品も数多く存在します。
 信頼できるかかりつけ医に相談ください。
 当院ではLS-VC(Lipo-Spheric VC)と、AHCC(Active Hexose Correlated‐Compound)、そしてこのAHCCにラブレ菌を混合したイムノリンクの3種類を扱っています。しかし、目下のところ、劇的な効果を期待するというより、服用開始時の病気の進行度の方が予後に与える影響が大きいと言えますので、過度な期待は要注意です。
(サプリに限りませんが)



⑦漢方薬
 これは、中国5000年の人間(東洋人)の使用経験の果てに生み出された薬剤(生薬、エキス剤)です。人間の状態を気血水(津液)から診る(弁証)手法は西洋医学とは全く一線を画します。舌診、脈診から、すべての病状をこれら、気血水の過不足から診断し処方を決定してゆきます。当院では、博子先生担当で、3ヶ月ごとに中医師のチュウフォウメン先生に指導を受け診療しております。漢方は、癌だけではなく、特に女性の血の道症(更年期など)やアトピー性皮膚炎、花粉症などや自律神経失調症にも大きな効果が実証されています。

⑧テラピー
 基本的に副交感神経を活性化すること(癒し)が目的ですが、テラピーの中にはただ単に肉体的な癒しのみではなく精神的なリラックス効果を合わせ持つ療法が殆どです。また、中にはより深く自分の精神性を振り返るワークも含まれます。例えば、「なぜこんな病気になったんだろう?」とか「死んだらどうなる?」と言うような、所謂スピチュアルペインと呼ばれる痛みへの対応もテラピーで対応しております。
 当院で行われているテラピーは以下の通り。(テラピー内容は紙面の関係で詳細は省略。統合医療センターにて実施。有料。保険はききません。)

  ⅰ)クレニオセイクラル(頭蓋骨盤調整)療法:専門のテラピスト(落合)対応
  ⅱ)オイリュトミー(シュタイナー医学より):専門のテラピスト(細川)対応
  ⅲ)退行催眠療法(前世療法):専門のテラピスト(細川)対応
  ⅳ)鍼治療:専門のテラピスト(落合)対応
  ⅴ)気功:専門の中医師(ショウ)対応、月一回
  ⅵ)アーユルベーダ(インド伝統医学):専門のテラピスト(中野)対応
  ⅶ)オイルマッサージ:専門のテラピスト(安田)対応
  ⅷ)手揉み療術(日本式マッサージ):専門のテラピスト(安藤)対応
  ⅸ)びわの葉温熱療法:専門のテラピスト(小寺)対応
  ⅹ)吸い玉(カッピング):専門のテラピスト(小寺)対応
  ⅺ)スピリチュアルカウンセリング:専門の医師(粥川)対応

⑨修行



 癌治療と「修行」とは、距離感を感じるかもしれません。しかし、私の中では非常に近い関係です。精神ー神経ー免疫学の立場からすると、癌治療はまさに如何に免疫力を上げるかにつきます。(西洋医学は、癌を叩くこと)その最も上位にあるのが精神・心です。心の状態が延いては免疫力に大きな影響を与えるのは、日常の体験でもよく知られたことです。大きな精神的ショックの後に、大病が発生する事は比較的多いのです。その理由は簡単で、精神的なショックが、大幅に自律神経を混乱低迷させ、結果的に免疫能に異常を来すからに他なりません。
 先にも述べましたが、癌の言い分は一つです。「変えなさい」もしくは「変わりなさい」です。「変化の時がきたよ!」というものです。
 人間を肉体的存在とスピリチュアルな存在と大きく2つに分けたとしたら肉体的に変化を強要する事は実は容易です。私たちの肉体=食事(食材+水+空気)だからです。つまり、肉体を変えることは、食事を変えれば、自ずと変わらざるを得ません。癌と言われたら、まずは食事を変える。これは基本であり、容易ですね。
 問題は精神・心です。これは、自分自身である根拠も含まれるため、容易には変え難い、そこまでして変えたくない・・というのが本音ですね。しかし、癌は言います。「にも関わらず変えなさい」なのです。癌は命懸けの病気です。命を掛けて、自分を変えようとしているのです。なら、チャレンジしてみましょう。きっとそれが出来るから、癌はあなたに訪れたのです。
 では、その精神・心を変える道はあるのでしょうか?
 今までの悪しき習慣(心当たりあれば)を「しない」というのは、まず大きな変化が起こるでしょう。(例えば、タバコをやめた!)もう一つが、新しい良き習慣を開始する。
 それが、修行です。修行とは、Wikipediaによれば、「仏教のおける精神鍛錬。財産・名誉・性欲などの人間的欲望から離れ、生きていること自体に満足を得られる状態を目指す。怒り・怨み・妬み・憎悪といった否定的感情も破棄しなくてはならない」と記いてあります。少々辛そうな響きですが、ある意味強制的な精神鍛錬法といえます。当院では、座禅断食会を年2回(5月・9月)開催しております。まずやってみませんか?
 また、こうした同じ目的に向かって精進するためには仲間が大切ですね。
 当院では、ぽんサロン(ガンサロンのこと。「がん」を「ぽん」と呼ぶのは、笑い学会昇先生提唱)を毎週水曜日に行い、時々のテーマで楽しいひと時を過ごしています。また、年一回は癌患者やご家族と共に「気功ツアー」に出かけます。 大いに、一つになり楽しむ、人生の楽しいお思い出を増やす事を目的とします。癌末期でも、医療者と一緒なら行けます。そのために医療はあるし医者がいると思っています。

<緩和医療>
 緩和医療は時に諦めの医療のように言われますが、私は間違っていると思います。免疫力をあげる仕組みからすれば、良好で効果的な緩和医療は間違いなく精神的な安楽をきたし、副交感神経が刺激され、延いてはリンパ球の活性化に繋がるはずです。勿論、宿命は変えられないでしょうが、時間は変えられると思います。良好な時間が長引くなら誰しも望むところではないでしょうか。モルヒネは良い薬なのです。



本当のガンの抑え方

 私たちの身体は精神-神経-免疫-腫瘍の中で、間違いなく腫瘍を抑えています。これが自然の法則です。癌を抑えたいのなら、癌の前に免疫(リンパ球)を活性化、免疫の前に自律神経(副交感神経)を活性化、そして神経の前に精神・心を鍛錬することが、延いては癌を沢山発生させない(大きくしない)為の自然の法則に従った手順であることが分かって頂けたと思います。しかし癌は必ず発生します。それが目に見える大きさ(5mm以上)になったからと騒ぐことなく、それにも拘らず、常時免疫を活性化した生活(免疫生活)を送っていれば、それ以上癌は増えません。癌細胞をヤクザに例えるなら彼らも人間(細胞)です。ヤクザ(癌細胞)がいても、それなりの警察官(リンパ球)がいれば、日本という国(あなたの身体)は安泰なのです。消滅させる(西洋医学)のではなく「共生」という道。それこそが癌治療のニュースタンダード(新しい標準)だと思うのです。癌とは常に共生。癌が出てくる要因は必ずあるので、そこは十分に検証する。間違いは正す(変化)。そして免疫生活をすれば、絶対大丈夫だという事を知ってください。癌の結果、最も避けたいのが「死」ですが、死に寄り添うことは修行であって、修行は結果的にもっとも癌から遠い(癌になりにくい)精神性を育む事を知るべしです。「死ぬ時には死ぬが良かろう」さあ、如何でしょうか。私も癌患者ですので、癌ちゃんと共に歩んでいきます。